2023年11月22日
2023年4月より、人文書院のnoteにて新企画「じんぶんのしんじん」のシリーズ第一弾「批評の座標――批評の地勢図を引き直す」の連載が開始されました。近代体操のメンバー松田樹が企画編集協力の一員として参画しています。
「批評の座標」シリーズは、毎月2名の新人批評家・ライターたちが過去の日本の批評家・著述家たちを紹介し、かつて日本の人文知の在り方を規定していた批評家たちの仕事を振り返ることで、いま読まれるべき・発すべき言葉を探る「実験の場」です。
これまでの連載において、松田樹に加え、近代体操メンバーの森脇透青、武久真士および古木獠が寄稿しています。
松田樹「あいまいな批評家の私――柄谷行人」
今回の対象は、文芸評論はもとより、批評誌『批評空間』の運営やNAMという政治運動体の旗振り役を経て、現在では思想家として世界的な評価を受ける柄谷行人。中上健次研究の傍ら批評誌『近代体操』を主宰・運営する松田樹が、国際的には「思想家」を、国内的には「文芸批評家」を名乗る柄谷の揺れ動きを出発点に、批評という運動そのものを彼のテキスト自体から浮かび上がらせます。
森脇透青「東浩紀の批評的アクティヴィズムについて」
批評のみならず書籍出版や人文系のイベントスペースの運営等を通じて、ゼロ年代以降の批評界を牽引し続けている東浩紀。東が「再発明」した「ポスト・モダン」「誤配」等の概念を文脈に即して読解し直し、その活動全体から東の批評的視座を見いだします。執筆者は気鋭のデリダ研究者であり、批評誌『近代体操』を主宰・運営する森脇透青です。
武久真士「セカイ創造者保田与重郎――詩・イロニー・日本」
ドイツロマン派に親炙しながら日本の古典を論じ、近代批判を繰り広げた文芸評論家、保田与重郎。戦時下の若者に絶大な影響を与えたとされる保田を、その最大のキーワード「イロニー」から論じます。執筆者は、中原中也や三好達治などの近代詩の研究者であり、批評誌『近代体操』同人でもある武久真士です。
さらに、連載に並行しながら、下北沢の本屋B&B様にてブックフェアも開催されました。開催に際しては、寄稿者の皆さまから選書とPOP用の紹介文をお寄せいただき、三十五点もの批評家の著作や寄稿者の関連書籍、そして人文書院の刊行書籍が、フェアの本棚一面に並べられ、その中に『近代体操』の創刊号も含まれていました。
「批評の座標」シリーズの連載は1年間を予定しており、若手の書き手による新鮮な批評文をぜひともこれからも楽しみにしてください。
※バナーは人文書院のnoteより転載(デザイン:太田陽博/GACCOH)